規約(のコピー)を皆さんが持っているのですが、規約原本が見つかりません。規約原本についてはどうしたらよいのでしょうか。
規約は管理者(通常は規約で「理事長」と定める)が保管するのが原則ですが、管理者がいない時は、区分所有者またはその代理人であって、建物を使用している者の中から、規約または総会の決議で専任された者が保管しなければなりません(区分所有法第33条第1項)。保管場所については特に定めがありませんが、どこに保管しているかは、建物内の見やすい場所に掲示する必要があります(第33条第3項)。なお法人化されている管理組合においては、理事が法人の事務所において保管しなければならない旨定められています(第47条第9項)。
ところが理事長が何回か変わるうちに規約原本がわからなくなっているとか、はじめから規約原本のないマンションも見受けられます。
規約原本が見つからない時には、次の総会において、規約原本の確認についての議題を掲げて、規約事項となるため議決権と人数は3/4以上の特別決議をしなければならないでしょう。(区分所有法第31条第1項)
この場合、規約原本の確認を決議した総会の議事録がその規約を証する書面になり、この議事録への署名押印は、議長及び集会に出席した区分所有者の二人で足ります。(区分所有法第42条第2項)この議事録と規約原本を一緒に保管することが必要でしょう。
なお、議事録とは別に独立の書面としての規約原本を作成することもありますが、この場合も、規約原本に区分所有者全員の記名押印を求める必要はありません。
大規模修繕工事の実施にあたり、専門委員会をつくりたいのですが総会の承認が必要ですか。
専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となります。
標準管理規約では、専門委員会の位置付けに関しては、理事会で設置できるという位置付けですが、専門委員会における検討に、理事会運営予算以上の費用が必要な場合、その支出については総会の決議が必要になります
また、専門委員会での検討結果は理事会に具申されるものであり、検討結果を踏まえた意思決定は、理事会または総会が行うものです。
専門委員会とは何ですか。また、設置に際しての留意点はありますか。
管理組合の運営は理事会によって行われますが、管理規約の改正、共用部分の変更、大規模修繕工事の実施等のような大きな事業については、そのための事前の調査、検討や準備に相当の期間、労力や専門性が求められ、理事会のみでは対応できないことがあります。また、実施に際しても同じような問題があります。このため、理事以外の組合員の参加を得て対応する方法が考えられます。このための組織を専門委員会と称しています。
専門委員会の設置方法については、標準管理規約では、@理事会がその責任と権限の範囲において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる、A専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申するとして、その性格を理事会の諮問機関としています。
理事会は、専門委員会の具申を受けて、その内容を検討し修正すべきは修正して総会議案を作成し、総会に諮ることになります。
なお、専門委員会の活動費が大きくなる場合や運営細則の制定が必要な場合などは、専門委員会の設置、運営細則の制定及び専門委員会の活動予算などについて総会の決議が必要であると考えられます。
理事会の運営においては、各理事が業務をそれぞれ分担して対応している例もありますが、専門委員会を設置してそれぞれの分野で知識や経験のある組合員の協力を求めて対応する方が、より効果が期待できる場合もあります。
次のような案件については、専門委員会を設け、組織的な対応をするのが望ましいといえます。
また、専門委員会の設置例としては、次のようなものがあります。
(ア)大規模修繕工事の実施、(イ)専有部分のリフォーム問題、(ウ)管理規約の改正、 (エ)居住ルールの作成、(オ)ペットの飼育のルールの作成、(カ)駐車場の運営または増設
「管理組合の管理規約」とは、どんな規約ですか。
管理規約の機能や権限について考える前に、まず管理規約=自治ルール=法律ということについて考えてみたいと思います。 1)お手持ちの管理組合の管理規約の最終章(雑則)に、単棟型標準管理規約なら第71条(規約外事項)に「規約・使用細則等に定めない事項は区分所有法その他の法令の定めによる、規約・使用細則等又は法令のいずれにも定めない事項は総会決議による」と、標準管理規約準拠なら旧規約でも同様に規定し、『総会決議>管理規約>使用細則等>区分所有法>民法他の法令』という法規範力の序列(強行規定や公法は除く)にあることを明確にしています。「管理規約」は単なる自治ルールとしてのマンション管理の最高自治規範というばかりでなく法的規範力を持つということ、つまり管理組合という団体(共同体)は、ひとつの社会単位として団体自治の範囲において、法社会を構成しているというわけです。 2)では、「管理規約」が「法」としての規範力を持つ根拠はどこにあるのでしょうか。区分所有法第3条の「区分所有者は、全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」にあります。ここにいう、規約を定めることが『 「・・・できる」ということばは、「・・・してもよい」という選択的内容をもついわゆる任意規定の場合にも用いられるが、多くは権利・利益・地位・権限・権能などを与える趣旨で使われている』(注1)ことを反映し、標準管理規約の最終章雑則部に(規約外事項)として「管理規約」の法体系のなかの位置づけを確認しているわけです。ここに「管理規約」は単にルールという軽い意味ではなく、「管理規約」は、国家権力に裏打ちされた規範力を持つことを組合員全員は自覚し自らが定めたルールを守り生かしてゆく重大な責務を負っていると考えますし、日頃から自分たちの「管理規約」をひもとく場を設けて学習し時代に即したものに変えてゆく姿勢を持ち続けたいものです。
管理組合という団体にとって、管理規約はどんな機能や権限をもっているのですか。
まず、管理組合という団体の性格から、管理規約へのつながりをみてみましょう。 1)区分所有法第3条に「区分所有者は、全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し」と規定される団体が管理組合であり、管理組合は協同組合などと同様の「社団法人」 の性格を有しています。つまり、共同の目的を達成するため、集合された人の集合体(共同体)である団体自身がひとつの社会単位として、その構成員から独立していると定義(広辞苑)される団体です。この意味するところは、管理組合が人格を持ち、個々の区分所有者から独立し団体としてまとまった考え方や意思を持ち、これを表明し行動する者として理事長(管理者)が存在し、これらを可能とするのが集会により定められた「管理規約」の存在です。 2)法人格のない一般の管理組合は、民訴法29条によって「権利能力なき社団」として民事訴訟の当事者能力を有し、物権的取引を除き実質的には法律上の権利義務の主体とされる法人格を有するに等しい団体となっています。その具体的な要件として、裁判判例では@団体として組織を備え、A多数決の原則が行われ、B構成員の変動に係わらず団体が存続し、Cその組織において代表の方法・総会の運営・財産の管理その他団体としての重要な点が確定していることをあげています。確定しているとは、これらが具体的には各管理組合の「管理規約」に規定されているかを問うているわけです。判例が示すそれぞれの要件は各々の管理規約にすでに盛り込まれていることと思います。 3)権利義務の帰属主体である管理組合は、裁判の原告・被告ともなります。訴訟では、裁判所はまず初めに管理組合が「権利能力なき社団」であるか否かにつき判断し、管理組合運営の事実から、管理組合が「権利能力なき社団」として、法律上の当事者能力を認められるのは、上記の4つの要件を備えている場合であり、この備えがなければ、法律上の当事者能力を認められず訴えは却下され、管理組合の運営は困難を来すことになります。つまり、国家権力が裁判機構を通して管理規約の規範力を保障し、管理組合という団体の権利と義務を保護し実現しようとしていることになります。 このように管理規約は、管理組合の内部ルールに止まらず、社会制度のひとつとして法制度を含め広く管理組合と社会をつなぐ権能を持っていることになります。
理事長になった途端、深夜・早朝に上階の騒音に悩まされている居住者から、自分が言っても相手にされなかったので、管理組合として注意してほしいと言われました。どうしたらいいでしょうか。
「生活音」をめぐるトラブルは、マンションのトラブルの代表的なものの一つです。
トラブルの処理方法について、平成15年度のマンション総合調査によると、8割強が「管理組合内での話し合い」を解決策としています。従ってこの問題は、新理事長が周囲の期待に応えるのにふさわしいテーマといえます。
「生活音」をめぐるトラブルが多いのは、平均的なマンションの場合 、建設コストの制約からある程度「音」の発生が避けられず、「居住者のマナー」に期待せざるを得ない面があるからです。
つまり建物側の条件と「居住者のマナー」との微妙なバランスが崩れた場合に、トラブルが発生するといえます。
さて、お尋ねのケースについて対応策を考えてみましょう。
まずトラブルの関係者から事情を聞く場合は、他の理事(関係者の知り合いが望ましい)と聞き役・記録役を分担して、次のようにできるだけ詳しく正確に聞き取るようにします。
この場合、特に次の点は解明・確認しておくべき事柄です。
さて、以上の情報をもとに理事会では、具体的な対応策を検討します。
役員になってくれる人が居なくて困っています。何か解決方法はありませんか?
今、規約では「現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」ことになっています。
解決方法があります。役員になれる人の対象を広げることです。
例えば、規約を「現に居住する組合員、組合員の配偶者又は成人の一親等のうちから総会で選任する。」に変更することで対象者の拡大が可能となります。
ペット禁止の管理組合で、堂々とペットが飼えるようにするには?
回答準備中です
管理会社変更のあたっての手続き等
1.管理会社を変更する場合の留意点と管理会社の選定基準についてアドバイスをお願いします。
2.現在の管理会社を変更し新管理会社と委託契約を締結する場合総会に付議する必要がありますか。
1.(1)管理会社の変更問題は、区分所有者の財産に関する重要事項ですから、十分検討をする外その手続きは透明性がもとめられます。
そこで以下の手順をふむことが必要です。
(2)管理会社のリスト作成
(3)選定にあたってのチェックポイント
等が参考になります。
2.管理組合と現管理会社との間の管理委託契約を解除し新管理会社に変更する旨の総会決議をえて新会社に移行する手続きをとることになります。
書面決議の手続きについて総会を開催しないで書面で決議することを検討しております。
書面で決議するときには、全員の合意がないと成立しないということでしょうか。
具体的な手続きを教えてください。
総会の決議に代わる書面等による合意の場合には、書面により決議することと議案について賛成することの全員の合意がないと成立しないことになっています。(区分所有法45条2項)
しかし、平成14年の法改正により、区分所有者全員の承諾がある場合には、総会を開催しないで書面等による決議することができるようになっています。
法45条2項「書面による合意」と異なりその決議事項についての賛否は一致する必要はなく、書面決議をする場合には、普通決議事項に限らず特別決議事項であっても議案として決議することができます。
なお、区分所有法45条1項に定める全員の承諾は、包括的な承諾でなく個々の決議についてそれぞれ承諾を得る必要があると解されています。
現在管理組合の理事長をしておりますが、区分所有法にうるさい組合員から、「理事会等の報告がないのはけしからん、区分所有法の報告義務違反ではないか?罰金20万円だぞ」と、冗談半分に脅かされています。 如何対処したらいいのでしょうか?
ご存知の通り、区分所有法は大きく、第1章建物の区分所有・第2章団地・第3章罰則の3章で成り立っております。
確かに、区分所有法では「管理者(理事長)の権利及び義務には、民法の委任の規定を準用する(区第28条)」とあります。
民法では受任者(=理事長)は、委任者(=区分所有者)から、事務処理状況(=管理組合の業務処理)の報告を求められたときは何時でもそれに応じなければならないとあります(民645条)。
確かに、区分所有法では、
管理者(理事長)が報告義務に違反したときは、20万円以下の過料に処せられます(区71条4号)。
しかし、同じく、区分所有法では、
管理者(理事長)は、集会(総会)において毎年一回、一定の時期にその事務の報告をしなければならないと定められており(区43条)、
これとの関係上、個々の区分所有者(組合員)に対して直接説明義務を負うものではなく、管理組合の集会(総会)において説明すれば足りるとされています。(東京地裁平成4年5月22日)